俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「いやー!伶士くんが来てくれるなんて、麗華が聞いたらすぐ飛んでくるだろうに。君は麗華のお気に入りだからな?」
「…今日、麗華さんは?」
「今、日本にはいないんだよ。自分の企画したホテルの儀式だから来たがっていたんだけどね?」
「そうですか」
小笠原社長と談笑していると、会場が慌ただしくなってきた。
式が、始まる。
親父の横に並んで、その式を見守る。
すると、親父が小声でボソッと俺に話し掛けてくる。
「…本来、地鎮祭ってのは神主がやるんだが…今回は浄霊を兼ねているので、来るのは神主ではない」
「じゃあ…?」
「…今日は、うちの陰陽師に任せてある」
陰陽師…。
式は進んでおり、奥からはいかにも洋服ではない和服…っていうのか、物々しい格好をした人が現れた。
白い直衣に袴。手には数珠をかけて。
平安貴族みたいな。セイメイアベノみたいな。
いかにも、そっち系の人。聖職者の見てくれだ。
よく見ると、髪の毛アップヘア。
女…?
(あ…)
目を凝らしてよく見ると、それは知ってる顔だったりする。
いつものギャルメイクではなく、ナチュラルメイクだからわからなかった。
「なずな…?」