俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「………」


じいちゃんは、急に黙ってその椅子をじっと見ている。

気付いちゃったか。椅子ひとつしかねえよ!みたいな。

じいちゃん、座って…もう、いいから。



だが、俺の願いが通じたのか、その椅子にドカッとせっかちに座るじいちゃん。

座ってくれた。



しかし、ホッとしたのも束の間。



「伶士!椅子がないから、私の膝の上に座れ!…座るんだ!私の膝に!」

「…えぇっ!」



膝の上に座れと…!

それは予想外だ!

16歳男子高生が、年寄りの膝の上に座る?

そんなシーン、見たことない!



唖然…!



しかし、じいちゃんは「早く!」と、自分の膝をパンパン叩いて俺を誘う。

なぜ、どこまでもせっかちなんだ。



「じ、じいちゃん…俺、もう身長も体重もあるから、じいちゃんの膝、座れない…じいちゃんの膝、崩壊する…」

「心配するな!ワシの膝はまだ現役バリバリ若者にはまだまだ負けん!」



昨日の忠晴と同じことを言ってるよ。

でもごめん。じいちゃんの場合、忠晴より説得力ない。

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