俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
…ビックリした。
ええぇぇっ!と叫びたい気分だが、周りは式の物々しい雰囲気に包まれて誰一人口を開かず式を見守っているという中。
声は堪えて黙る。
平安貴族・セイメイアベノのような格好をしたなずなが俺達の前をゆっくり歩いて通り過ぎる。
普段の姿と今の姿のギャップに笑いそうになるが、そこも堪える。
ギャルが平安貴族の格好してる…。
そして、お供え物が並んでいる祭壇の前には豪華な畳が二枚ほど並んで置いてあり、そこに腰掛ける。
その座った目の前には鏡。
傍には、二本の宝剣があり、それを手に取る。
「…この地に住み着く禍よ、その姿を現し給え…オン・バザラ・タマクカン・エイ・ハーン…」
ブツブツと真言を唱えながら、二本の宝剣の鞘をいっぺんに抜く。
真言に合わせて宝剣が…光ってる?
そして、光を放つ宝剣を鏡を挟むようにそれぞれ刺して、合掌し真言を続ける。
「オン・バザラ・タマクカン・エイ・ハーン…オン・バザラ・タマクカン・エイ・ハーン…」
宝剣が光り輝く様を見て、ギャラリーは「おぉっ!」と歓声をあげる。
親父がボソッと「周りは単なるパフォーマンスだと思ってんだよ…」と、俺に呟いていた。