俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
パフォーマンスねぇ…?
そう思っている何も知らない人達は幸せだな…。
この世界の恐怖を身を持って知ってる俺だから言えるセリフだが。
なずなが真言を唱えていくうちに、鏡も光り出している。
やがて、黒い靄が鏡から立ち込めてきた。
それは緑の光を絡めて、次第に強くなる。
鏡から吹き出す竜巻のようになっていた。
「オン・バザラ・タマクカン・エイ・ハーン…」
真言を唱えながら、なずなは懐から霊符を三枚取り出す。
小学校の書道の時間に書く練習をしたお札…。
もう生気が込められたかのように、ピンと張っている。
「オン・バザラ・タマクカン・エイ・ハーン…」
真言を唱え続けたまま、俊敏に膝を立て、その霊符を投げつける。
霊符は、小さな竜巻に勢いよく吸い込まれていき、小さく爆発した。
ギャラリーが爆発音に「おぉっ!」とまた反応する。
俺も少しビックリした。
すると、その竜巻は勢いを無くしている。
渦巻くスピードが緩やかになっていた。
代わりに黒い靄がプスプスと増え出している。