俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
そう言って兄貴は麗華さんの肩に手を添えようとする。

しかし「触るんじゃありません!」と、手を払い除けられていた。

だが、兄貴はそんな風にあしらわれてもその笑顔は絶やさず麗華さんに向けている。

「ねー麗華?今度二人でディナー行こ?美味しい沖縄料理の店見つけたんだ」

「絶っっ対、行きません!あなたと食事に行くぐらいなら、お兄様の犬のエサでもやりますわ!……もう!おじ様とおば様に挨拶してきます!それでは伶士さん、また連絡致しますわ!」

「あ…麗華さん!」

「麗華ぁー!一緒に行こってー!」

「あなたと食事なんて死んでも行きませんわ!何ならそこらにいるテキトーな女性でも連れて行きなさい!」



そう怒鳴り散らしながら、麗華さんは疾風の如く早々に立ち去ってしまった。

まるで、兄貴から逃げるように。

あー…これ。どんだけ嫌われてんだよ。

何したんだ。



「…俺は麗華と行きたいのに」



行ってしまった麗華さんをいつまでも見つめながら、ボソッと呟く兄貴。

一瞬、寂しそうな表情が見えてドキッとさせられる。

兄貴が?

いつも余裕綽々の笑顔でいるのに?

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