俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…うん、ありがとう」



不安を取り除かせるその一言に、薫は俺の顔を見て頷く。



「伶士…変わったね」

「…え?そう?」

「うん。何だか、頼もしくなったっていうか、男らしくなったっていうか」

「そうか?」




それから、俺達は少しの雑談を交わす。

でも、それは二人が付き合っていた頃の昔話と、当たり障りのない近況報告みたいなもので。

楽しい話しかせず。

兄貴とのあの件に触れることは、お互い一切なかった。



小一時間ほど話をして、薫とはそこで別れる。

会場へは戻らず、部屋に直行して一人になった時に、ふと思った。



そういや。

薫と兄貴は今、どうなってんだ?



…とは、言っても。

兄貴は相変わらずいろんな女と飲みに行ったり、外泊したりで。

でも、俺の悪霊騒ぎの件も兄貴から聞いたって言うし。

会ってんのかな…。



しかし。

兄貴との件については。

謝罪の一言どころか、話もなかった。



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