千景くんは魔法使い
千景くんの✫*゚☆.*。✫ひみつ
私の名前は遠山花奈。
中学生になったら、友達がたくさんできて、部活も頑張って、ドキドキするような恋もしたりして。
そんな毎日が待っていると思っていたけれど、中学二年生の14歳になっても私はなにひとつ叶えられていない。
「ねえ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た!超胸きゅんだよね!頭ぽんぽんとかヤバいよ。されてみたいー!」
「おい、誰かプロレスやろうぜ!」
「やだよ。あれ次の日筋肉痛になるし」
ホームルームが始まるまでの時間。女子は恋愛ドラマの話で盛り上がっていて、男子はじゃれあって騒いでいた。
新学年になりクラス替えが行われて、友達と離れてしまった人たちは残念がっていたけれど、GWが明ける頃にはすっかりみんな打ち解けていて仲良しグループがたくさんできている。
そんな中で私はぽつりと自分の席に着いていた。
しかも席は五十音順なので、〝遠山〟の私はよりにもよって真ん中の列。どこから見ても死角にならないこの場所では、余計に自分だけが浮いて見えていた。
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