千景くんは魔法使い
少し沈黙になりかけたけれど、すぐに千景くんは表情を元に戻して、再び私の手を引いた。
「昼ごはん食べにいこう。花奈が好きそうな店を見つけておいたんだ」
千景くんが案内してくれたのは、リスの小部屋というカフェだった。
木造造りの店内はまるでリスたちの家のようになっていて、テーブルは切り株、椅子は丸太だった。
「なにここ、すっごく可愛いね……!!」
リスの置物がいたるところにあり、各テーブルにも名前つきのリスがいる。
「この子、カナちゃんだって」
「じゃあ、俺と花奈みたいだ」
「……?」
「千景の〝か〟と、花奈の〝な〟」
「わあ、本当だね!」
どんぐりの形をしたメニュー表も可愛くて、それぞれ食べたいものを選んだ。