千景くんは魔法使い
そのあと私たちは電車で地元に戻った。
行き先を告げられないまま見えてきたのは、いつもの河川敷だった。
川のせせらぎが聞こえるくらい長閑な景色の中に、ひとりの男の子が立っていた。
「あれって……」
近づくにつれて、顔がはっきりとしてくる。
私たちの存在に気づいた〝真田くん〟は視線をこちらに向けた。
「自分から呼び出しておいて、後から来るなんていいご身分だな」
すぐに真田くんの声が飛んできた。
呼び出したって……まさか千景くんが?
千景くんは真田くんのことをまっすぐに見ていた。そして姿勢を正したまま頭を下げる。
「4年前、自分勝手な行動をして、たくさん迷惑かけた。本当に、本当にごめん」
千景くんの声が震えていた。