千景くんは魔法使い
千景くんの✫*゚☆.*。✫みらい
夏休みが明けて――二週間。新学期の浮き足だっていた空気も消えて学校は落ち着きを取り戻していた。
そんな中で、休み期間の生活サイクルがなかなか抜けずに、私の朝は今日もバタバタしていた。
「もう、だから目覚ましかけておきなさいって言ったでしょう?」
慌ただしく身支度をしてる私を見て、お母さんが呆れている。
「かけといたよ。でも消しちゃったみたいで……」
「ニャンッッ!!」
「わわ、ごめん、ちっち!」
フローリングの冷たさを覚えたちっちが廊下で寝ていて、そのしっぽを踏んづけてしまった。
「朝ごはんは?」
「パンだけ口に入れていく!」
「もう、お行儀が悪いんだから」
ちっちにもまったく……という顔をされながら、私は玄関のドアを開けた。
「じゃあ、行ってきまーす!」
元気よく外に出ると、雲ひとつない青空が広がっていて、まだかすかにセミの声も残っていた。