千景くんは魔法使い
*高校生になったふたり*


大人の階段をのぼるような気分で高校に入学して、早3カ月。私は16歳になっていた。

帰りのホームルームが終わり、生徒たちがごった返している昇降口。私も上履きからローファーに履き替えて校舎から出た。

またセミの鳴く季節がやってきたんだな、なんて、夏の風情を楽しんでいると……。

「花奈ー!」

桃ちゃんが息を切らせて追ってきた。

「ハア……もう、なんで先に帰っちゃうの?」

「え、だって桃ちゃん委員会でしょ?」

「委員会は第二金曜日!いい加減覚えてよ」

「はは、そうだったね。ごめん」

桃ちゃんと私は同じ高校に入った。


桃ちゃんは寸前まで制服が可愛いと評判の女子高に進むか悩んでいたけれど、最終的には『やっぱり花奈と離れるのは寂しいから同じところにする!』と言ってくれた。

現在、クラスこそ分かれてしまったけれど、私たちの友情は今も続いていて、友達から親友になっていた。

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