千景くんは魔法使い
当然のことながら、真田くんも同じ高校である。
中学2年生の時に宣言していたとおり、強豪と呼ばれているサッカー部に所属して、厳しい監督の元で千景くんと毎日汗を流している。
「花奈に触るなよ」
千景くんが助けるように、真田くんの腕を払ってくれた。
「触ってねーよ。肘置きにしただけだ」
真田くんの意地悪は変わっていなくて、私にもこうしてたびたびちょっかいをかけてくる。
千景くんと真田くんの関係は友達というよりライバルみたいで、いつもなにかと言い争っているけれど、私はふたりがなんだかんだ仲良しなことを知っている。
「花奈、夜に電話するから」
「うん、わかった」
千景くんは真田くんを連れて部活へと向かった。
「花奈たちも来月で二年でしょ?いいな、ラブラブでさ」
「桃ちゃんだって彼氏と仲良しでしょ?」
「そうだけど、うちらはもう一緒にいすぎて家族みたいになりつつあるから」
……家族、か。
私も千景くんと家族になれたりするのかな?……って、さすがにそれは早いというか、まだまだ先のことだけど……いつかそうなれたら嬉しいなって私は思っている。