千景くんは魔法使い


クラスメイトから見た私の印象といえば、根暗で、無口で、挙動不審。自分でもそう思われても仕方ないなと思っている。

うまく喋れないのは、極度のあがり症で、人前ではすんなりと言葉が出てこない。

そのうえ、なにをしても不器用で空回りばっかりだし、この前の家庭科の授業ではポケットティッシュ入れを作ったのに、私だけティッシュすら入らない謎の小物入れが完成したくらいだ。

みんなが思っている私の印象に加えて、不器用かつ、どんくさくて、緊張しい。

自分でも嫌になっちゃうくらい、良いところがない。


「……はあ」

重たいため息をついたあと、手持ちぶさたを埋めるために、一時間目の授業の準備をすることにした。

これも周りが勝手に言っていることだけど、どうやら私は勉強が好きだと思われている。

とくに成績優秀というわけでもないし、先ほどのように提出物さえ遅れるほどのずぼらなのに……。

なんだか学校だと、自分が自分ではないような気さえしてくる。

こう見えて家ではお喋りだし、なんなら女子たちが興奮して話している恋愛ドラマだって見てる。

それでも私には、楽しくお喋りできる友達はいない。

< 3 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop