千景くんは魔法使い


「おーやっぱりそうじゃん。えっと、〝あれ以来〟だから4年ぶりくらいか?」

「さ、真田(さなだ)……」

千景くんの声が動揺していた。どうやら知り合いのようだ。

真田くんは私のことを下から上まで見ていた。そして、バカにしたように鼻で笑う。

「もしかして彼女?お前、ずいぶんと楽しそうにしてるな」

千景くんのことを『お前』と呼ぶ態度が偉そうで、私はムッしていた。

千景くんの友達?それにしてはあまりに上から目線の人だと思う。

「俺はお前のせいでサッカー辞めたっていうのによ」

その言葉で、私の勘が働いた。

もしかしてこの人は……千景くんが言っていた昔のジュニアチームの仲間?

「お前が抜けたあとのチームの末路(まつろ)を教えてやろうか」

真田くんはそう言って、早口で説明しはじめた。


「お前がチームの空気をぶち壊してくれたおかげで成績も落ちて、みんなのモチベも下がったまま、あの年の大会で俺たちは最下位になった。で、ユースの監督からも見切りつけられて、別の新チームを育てようとする風向きに変わった結果、どうなったと思う?」

「………」

「なくなったよ。俺たちのチーム。お前のせいでな」

ドクンと、心臓が跳ねたの私だけじゃない。

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