千景くんは魔法使い


「花奈はさ、小野寺の不思議な力のことを知ってて一緒にいるんでしょ?」

「うん」

「ならいいや。ふたりがわかり合ってるならそれで」

そう言って、桃ちゃんはくしゃりと笑った。

「……サンキュ。桃園」

おそらく千景くんもたくさん質問をされることを覚悟していた。

もちろん自分が魔法使いだということも話さないといけないと思っていたと思う。

でも桃ちゃんは聞かないということを選んでくれた。そこに深い優しさを感じた。

「でも小野寺、ひとつだけ言っておく。その不思議な力をどんなふうに使おうと、花奈のことだけは大切にしてよ。私の友達なんだから」

……桃ちゃん。

「うん、わかった。約束する」

千景くんは強く頷いた。

ずっとひとりでいたのに、私の周りにはこんなに温かな人たちがいる。

それを改めて実感したら、嬉しくて泣けてきた。

「ちょっと、なんで花奈が泣いてるの?」

「だって桃ちゃんが……っ」

「はいはい。もう泣かないの」

私、桃ちゃんと友達になれてよかった。

これからも友達でいたいって、心からそう思った。

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