そして、次の世界へ。
坂井さんは私にとって
信頼できる人。

坂井さんと2人きりのときは
動くことも、話すことも出来た。

「ごめんなさい、坂井さん。」

私は坂井さんに頭を下げた。

「篠ちゃんなんで急に謝るの?!」

驚いている彼女に私は
頭を下げたまま声を出す。

「相藤さんが坂井さんに声を
かけたとき、私のことなんか
大嫌いだって、

障がい者の相手をすれば
内申点が上がるからだ
って言ってもよかったんだよ...?」

涙が1粒、零れた。
それがコンクリートに染みて
さっと乾く。

そのままの姿勢でいると、
肩にぽんと手を置かれた。

「篠ちゃんの、バカ。大バカ!」
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