そして、次の世界へ。
そこは、音楽室に似ていた。

置いてあるものはどれも
少し古いけれど、椅子や机、

黒色のグランドピアノまで
なんでも揃っている。

そして、部屋全体に香るのは
木材の甘い匂い。

落ち着く、香りだ。

「素敵な部屋だね。」

そういうと莉那ちゃんは
そうでしょ、と言いながら
ピアノの前の椅子に腰かけた。

ぽーん。

指が鍵盤に触れて音が鳴る。

「ときどき授業をサボって
ここに来て、ピアノを弾くの。
弾きながら考えてるんだ。
私がしていることは正しいのかな、
とか。人を傷付けてないかな、とか。」

彼女の手が鍵盤の上を躍り、
美しいクラシックのメロディーを
紡ぎだしていく。
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