そして、次の世界へ。
スーパーに入ると、
人のざわめきに私の体が
カチコチに固まる。

そんな私を不思議そうに
見つめる人も多いけれど、

莉那ちゃんは人目を気にせず
私の手を引いて買い物を
手伝ってくれた。

私の財布に入っているお金で
莉那ちゃんが支払いをしている間、
ぼんやりと立っていると
いきなり誰かとぶつかった。

ガタンっ!と大きな音を立てて
カートが横倒しになる。

目線だけをそっとあげると、
私に向かってぶつかってきたのは
小さな子供みたいだった。

どうしよう、と思っていると
上から声が降ってくる。

「わ、すいません!
....ってお前、篠田じゃん。
うちの弟がごめんな?!
怪我とかない?」

「......」

驚いたことに、ぶつかってきたのは
緘波くんの弟だったらしい。
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