そして、次の世界へ。
莉那ちゃんが走って来ながら
私に頭を下げるから、私は大丈夫
という意を込めて2度瞬きした。

「じゃあ、行こっ!」

手を引かれて店を出る。

人気のないところへ行けば、
ふっと身体が軽くなった。

「さっき緘波くんに会ったの。
弟が居たんだね、知らなかった。」

私がそう言うと莉那ちゃんが
正気かというように目を丸くする。

「え、知らなかったの?!
緘波はクラスで、いや学年で
唯一の澄香に合う顔のやつなのに?」

「いや、そんなことないよ
私べつに可愛くないから...。」

「そろそろ怒るよ?
天使みたいな見た目の癖に~。」

そう言って頬を膨らませている
莉那ちゃんの方がよっぽど
天使みたいだと思うんだけどな。
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