そして、次の世界へ。
緘波くんは私の席の椅子を引いて
私をそこに座らせると、ひらりと
手を振って部活の朝練に行った。

私は1度席に座ると、
なかなかそこから動けない。

お手洗いなんかには行くけれど
絶対に行かなきゃいけないと思うまで
席を立たないし、

トイレまで歩いて行くのも
家にいるときの何倍も時間がかかる
から授業間の休み時間には行けない。

本当に、不便な体だと思う。

つい数年ほど前までは、
皆と同じように普通に過ごせてたのに。

場面緘黙症の自分なんて。

こんな自分なんて...









          大嫌い。
< 6 / 45 >

この作品をシェア

pagetop