そして、次の世界へ。
私が場面緘黙症になった
キッカケは、妹の自殺未遂だった。

『アンタみたいな守ってくれない
お姉ちゃんなんていらないよ!!!』

妹の哀しそうな叫び声は
私の心を大きく揺るがせて、
今でも私を後悔させる。

妹の茉澄は、いじめられていた。

私はそれを知っていながら
気付かないフリをしていたんだ。

『お姉ちゃん、助けて。』

その声に耳を塞いだんだ。

『私には、助けられない...。』

そう言って突き放した。

私の声は、罪の塊。

妹を自殺未遂に追い込んだのは、
他の何よりも姉である私の声だって
知ったとき、

私の中で何かが音を立てて壊れて。

私は場面緘黙症になった。
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