僕も好きだって言ったら?
威嚇のつもりで睨むが、男たちは大声で笑った。


「そんな見え見えの嘘をつくなって」
「さっき思いっきり目、逸らされてたのに、彼女って」


……僕、かっこ悪くないか。


こんなにあっさりと嘘だってバレて、好きな人も守れないなんて。


「嘘じゃない」


すると、後ろにいた彼女が僕に抱き着いてきた。


「ヒロトは私の彼氏だよ」


今までうっとうしいと思っていた行動に、初めて嬉しいと思ってしまった。


初めて名前を呼ばれたこともあってか、余計に照れる。


そんな僕たちを見て、男たちは舌打ちをして人混みに消えていった。


その瞬間、彼女は僕から離れた。


「助けてくれてありがとう、弟君」


作り笑顔だし、呼び方戻ったし。


なんだこれ。
一気にどん底に落とされた気分なんだが。


彼女はそれ以上何も言わず、僕から離れようとする。


僕は咄嗟に彼女の手首を掴む。


「弟君……?」


彼女は困惑した表情で僕を見てくる。


「嘘じゃ、ないんで」
「……何が?」


まさか冷たい声が僕に向けられるとは思っていなかった。


まるで拒絶されたようだ。
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