僕も好きだって言ったら?
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」


まるで音符でもついているかのように楽しそうに言う。


「そうだ、弟君。ゼリー食べない?作ったの」


彼女は僕の返事を聞くより先に席を立った。


料理ができるだけでなく、お菓子も作れるのか。
家庭的な部分があるとは、意外だ。


「ふっ」


冷蔵庫からゼリーを取り出している彼女の背中を見つめていたら、姉さんが鼻で笑った。


「……何」
「胃袋掴まれたな」


返す言葉もない。


認めたくはないが、彼女の料理をまた食べたいと思ったのは事実だ。


「どうしたの?ケンカ?」


ゼリーを持ってきた彼女は空気を読まずに入って来た。


まあ、僕が一方的に姉さんを睨んでいただけだが。


「うちの弟様はどうやら単純らしい」


姉さんはそう言うと、立ち上がって彼女の肩に手を置いた。


「そうなの?弟君!」


また必要以上に近付いてくる。
どれだけのけぞっても、距離を縮められる。


「こいつ、お前の料理が好きなんだってさ」
「ちょっと、姉さん!」


その余計なことを言う口を今すぐ閉じてくれ。
姉さんが丁寧にばらしてくれるせいで、彼女の目がどんどん輝いていく。


「もう、そんなに照れないの」
< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop