僕も好きだって言ったら?
座っている僕に抱き着いてきたら、僕の頭はちょうど胸にあたるわけで。


彼女の向こうにいる姉さんが声を殺して笑っている。


姉さんに逆らってもいいことなんかないから、文句は言わないでおくが、この人がこうして僕をからかってくる理由がわからない。


なんとなく、僕の反応を見て楽しんでいるようには思えない。


だからこそ、わからないんだ。


僕から離れた彼女は、隣に座った。


「弟君」
「……なんですか」


彼女が作ってくれたゼリーにスプーンを通す。


「一緒にお風呂に入ろっか」


口に入れたゼリーが出てきかけたじゃないか。


「はあ!?」


ここまで大きな声を出したのはいつぶりだろう。
だが、出さずにいられるか。


「ダメ?」


文句を言う気力も失せる。


見直したと思えばこれだ。
頭おかしいんじゃないか。


「あ、そっか」


何かを思い出したのか、彼女は座りなおした。
わざとらしく咳ばらいをした。


「好きだよ、弟君」
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