僕も好きだって言ったら?
「高校生が大学に行けるわけないだろ」
「お前、オープンキャンパス知らないのか」


先生が志望校に行けって言っていたような気がする。


「でも僕の志望校、姉さんの大学じゃないんだけど」
「真面目かよ。オープンキャンパスに行くのは一つの大学じゃないといけないなんて決まってないから」


それなら行ってみてもいいかもしれない。


「……それ、いつあるの?」
「知らない。自分で調べろ」


アドバイスするだけしておいて、肝心なところで役に立たない人だ。


なんて、口が裂けても言えないが。


登校中に姉さんの大学を調べると、オープンキャンパスの情報はすぐに出て来た。


どうやら一週間後にあるらしい。
行ってみるか。





彼女がうちに来ない一週間は思った以上に長かった。


本格的に避けられているなと思うと、結構メンタル削られる。


「うわ、死人みたい」


いきなり暴言はどうかと思う。
僕だって傷つくんだからな。


「今日行くんでしょ?」
「うん。よかったら姉さんも……なんでもないです」


誘おうとした瞬間、ものすごく嫌そうな顔をされた。


話している途中でそんな顔をされたら、諦めるしかないだろう。


「……て、姉さん学校休みなの?」
「そうだけど」
「あの人、いるの……?」
「成績優秀者としてなんか話すんだって」


それはまた意外な一面。


「そろそろ時間」
「本当だ。行ってきます」


姉さんは歯ブラシを咥え、追い払うように手を動かした。


……それでこそ僕の姉だ。
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