君だけは違うから



すっ


頭に乗っていた重さがなくなる



「え、遠藤?」


杉崎の焦った声


私たちの間に入ったのは


た、ける?


杉崎の腕を掴んでいるのは紛れもない幼馴染み


私の頭に乗っていた腕を掴んで退けたらしい


な、なんのために?


「…」


健は一言も話さない


黒色のサラサラの前髪に隠れて目がしっかり見えない


「おい?遠藤?どうしたんだよ」


杉崎の言葉に顔を少し上げた健





その目を見て思わず固まった


「っ」


杉崎も息を呑む音が聞こえる


見たことないくらい鋭く、怒りのあらわれた目つき

冷酷で、威嚇そのものを表現したような表情


「た、健?どうしたの?」


なにをそんなに…怒ってるの?


「触るな」


え?


「あー!いたいたーたけるー!」





慣れない女の子の声にビクッとする


「探したよー!」


現れた可愛らしい女の子は健の空いている方の腕にくっついた


「あ…」


瞬間、健はハッと気づいたようにいつもの表情になった


「行こ!」


「あ、え、うん」


一度私と遠藤を交互に見た後、ブルッと首を振った


引っ張られるようにいなくなった健





「なんだったんだろ」


「…こっわ…」


隣で杉崎が身震いした


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