君だけは違うから

渚side

渚side


おかしいな


もう放課後だっていうのに健の噂を聞かない


いつもだったら新しい彼女ができた瞬間、噂が広がるのに今日は健の名前すら聞かない


「七瀬」





「杉崎」


なんだなんだ


「俺今日部活オフ。一緒に帰る」


帰ろうとかじゃなくて帰るっていう宣言なのね


「行こ」


「あ、うん」


移動教室とか、何気に杉崎と二人で並んで歩くことが多いため、あまり違和感を感じない



「あのさ、忘れてないよね」


不意に口を開いた杉崎


忘れる?


「なんか今日1日めっちゃ普通だったからさ、今も」


ん?


「俺がお前に恋してること、忘れてないよね?」



なっなんちゅう言い方をするんですか!!


「わ、わ、忘れてなんかないよ!」


真っ赤になった顔を隠すように逸らす


「ふふ、またその顔。可愛い」


ひぇぇぇえ


だからやめてってばそういうこと言うの


「ちゃんと意識して」


顔を覗き込まれて足が止まる


でも…


今回も朝同様、私の意識は目の前の杉崎から別の人物に移動することになる

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