君だけは違うから



「嫌いになんかなれるわけないでしょ」



だってこんなにも好きなんだから


健の全部が愛おしくてたまらないんだから


「健が彼女を紹介してくれるたびに、諦めようって何度も自分に言い聞かせた…
だけどダメだった。健と私がずっと幼なじみであるのと同じように、私の健への気持ちもずっと変わらない」


覚悟してた…

一生変えられないこの思いをどこにも捨てられないまま、大人になるんだって

でも…どうやらその覚悟は必要なかったみたい


「渚…愛してる」





ぶわわわっと赤くなる顔


直球すぎる言葉に思わず目線を逸らす


「渚…結婚しよ」


なっ!?


「ちょ、待っていろいろぶっ飛びすぎじゃない?」


「なんで?」


なんでって


「付き合うより結婚の方がいいじゃん」


はひ?


ま、え?私まだ付き合うとかそこらへんの了承もしてないんだけど!?


「ちょ、ちょっと落ち着いてっ!ゆっくりやってかなきゃね?私まだ何も言ってないし、
あ!それに杉崎にも…!?」


杉崎の名前を出した途端に口を塞がれる…口で


まだ慣れないキスに目をまん丸にする私


「他の男の名前出すたびにキスするね」


え、えぇ…


熱を持った自分の唇に触れる


「て、手慣れてるね」


混乱して変なことを口走る


「…そんなわけないでしょ」


え?


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