君だけは違うから




「あーため息ついてるー」





「よ!一緒に帰ろ!」


一人で足を引きずるように歩いていた私の肩を叩いたのは


「健」


珍しい、登校はたまに一緒になるけど

帰りは大体どっか寄ってたり彼女とラブラブしてるから一緒になることが少ない



「今日は女の子と一緒じゃないの?」


「それがさ、一度に3人くらいに告白されたからどうすればいいのかわからなくて困ってる」



うわっこいつ、このやろ


なにその贅沢すぎる悩み


宝くじの使い道で悩んでるみたいな贅沢な悩み



それにしても、一度に3人とはまた…すごいことに



「ちゃんと向き合ってから決めなよ?顔とかで選んじゃダメだからね」


こいつのことだから一番可愛い子とか選びそう


「えーなんで?」


ほらみろ、絶対その気だった


「健のことをちゃんと受け止めてくれて、よく話し合って、たまに喧嘩してもちゃんと仲直りできるような人を見つけなさい」


はぁ、私はお前のおかんか


「…なんでそんな人を選ぶの?」


はぁ?


「ちゃんと関係を続けられる人を選ばないとダメでしょ?また別れたって泣きつくことになるよ?」


もうベソベソされるのはうんざりだし


それに…


「腐っても幼馴染みだからね。健が傷つくところは見たくないの」


紛れもない本心


いつも紹介される彼女を少しばかりは妬ましいとか羨ましいとか思っちゃうこともあるけど


健がいつも幸せそうにしてるから


私じゃその顔はさせられないってわかってるからこうやって思うしかないんだよ


「…なぎってさ…俺のこと好きなんだよね」





は、はぁ?


なに言って、自分で言う?それ


思わず急な言葉に顔が熱を帯びていくのがわかる


「そ、それは今関係ないでしょ!」


「関係ある。答えて、俺のこと好き?」


普段は見せないような力のある目に見つめられて思うように動けなくなる






好きだよ


すごく好き


胸が苦しくなるくらい


その隣に並ぶことはできないってわかってても


好きだよ


ゆっくりとうなずく


流石に目は見れず視線を横にずらす


「そっかーなぎって変わってるよねー」


ぐ…


パッといつもの笑顔に戻った健


なんだったんだ




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