闇の中の太陽
最悪だ。なんでこんな夢見たんだろう。
「愛璃〜起きなさ〜い」
「ううん」
普通の家庭のような声が聞こえてきた。
私はあの後、魂が抜けた、屍のように生き
ていた。
私の期待を壊した男はあの後、すぐに母に捨てられていた。他に女がいたらしい。
『頼む〜捨てないでくれ〜』
そんなこと言ってたな。
この時だけ母に感謝してしまった。
その母はというと、相変わらず男を取っ替
え引っ換えしていた。
しかし、中学三年の冬、母は警察に捕まった。
なんでも、夜の繁華街で、金をカツアゲするのを手伝っていたそうだ。
学生かよ。あの人若く見えたけど、三十代後半だったぞ。
そう思ったのを覚えている。
そのため、ある問題が起こった。
私のことだ
母は学生の時から家を出ていて、 親戚の人達の中には母の子である私をよく思っていない人が多く、誰が私を引き取るのか揉めていた。