闇の中の太陽
部屋に帰るまで私は泣いていた。

案の定、寛樹と奏太に心配された。

「ちょ、美蘭!目、真っ赤だよ!冷やしタオル持ってくるから。寛樹ー水ー水持ってきて」

奏太がオロオロしながらカウンターに走っていく。

「美蘭、大丈夫か。水飲んで落ち着け。酒に酔った…ようじゃなさそうだな……」

その優しさにまた涙が出て止まらなかった

侑哉の方を見ると

「な、言ったろ」

っと勝ち誇った顔を見せてきた。

その顔を見て、私は侑哉の好きの気持ちが大きくなった。

少し涙が落ち着いた頃にドアが開いた。

「あ、なんだこの感じ。てか、なんでこいつ泣いてんだ?ひっデー顔」

ギラギラ輝く銀色の髪に、鼻や顎、耳などにつくピアスが特徴の奴がやってきた。

「ちょ、おまえ、まず『大丈夫?』だろ!あと、ひどい顔は言い過ぎだろー“絢也(じゅんや)”」

「あ、ひでー顔のやつにひでー顔っつて何が悪いんだよ」

「失礼だろ!それに美蘭はひでー顔じゃないだろ」

「へーへー、あー寛樹ー酒くれやー」

「何がいいんだよ」

「えーなんか強いやつ」

「はー!ったく、おまえといい侑哉といい注文が雑なんだよ!」
< 42 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop