闇の中の太陽
わざと声を張って席に戻る。

委員長が唇を噛んで立っている。

いつも隣にいる友梨が前にいる。

「どうした、変な顔だぞー」

わざと明るく声をかける

「…はーあんた、この空気どうするの。最悪じゃん。顔も変になるわよ」

「ワタシシラナイ」

「白々しいわ、ったく」

はーっとため息をつかれる

「そういえば、なんで前いるの?」

「えー莉恵ちゃんが今日は前の席に座ってろって」

「ふーん」

タイミングよく担任が入ってきた。

またいつものように聞き流そうとした。

今日はちょっと聞いてやろう、そう思ったのがいけなかった。

いや、まず素直に教室に残ったのがいけなかった。

その前にちょっと遅れてきたのがいけなかった。

教室の扉が開く

動きがスローモーションになる

担任が口を開く

「じゃ、転校生紹介するね」

嫌だ、何かが嫌だ。何か大事なものが壊されそうな気がする。知らない奴なのに体が拒否する。喋るな、喋るな


けどその願いも虚しくそいつは口を開いた

やけにセミの鳴き声が聞こえた

私の日常が崩れる音がした



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