闇の中の太陽
担任を見ると必死に目をそらされた。

そらすぐらいなら最初からここに座らせなければいいのに。

心の中で毒づいていると、ガタンと隣で椅子がなった

「えっと、よろしく、森宮さん」

「…………」

私の大っ嫌いな太陽のような笑顔を浮かべて喋りかけてきた。

「森宮さんって下の名前なんていうの？」

「…………」

「あ、じゃあ、当ててみていい？」

「…………」

「うーん、なんだろ」

こいつ人が無視してもずっと喋っている。

苦手な人種だ。

たまにいる。

新学期になるとそういうやつが近づいてくる。聞きもしてないのにペラペラずっと喋っている。

でもだいたいすぐに離れていく。

理由は簡単私がずっと無視するからだ。

しかしこいつ、ずっと喋ってるな。

ちょっと黙らしてやろう。

「あ、からいくね。あ、あ、」

「………チッ」

ヒッ、とクラスが凍るのがわかった。

友梨が烈火のごとく睨んでいる。

あー怖。だってうるさいんだもん。

ちらっと転校生の方を見ると驚いた顔をしてすぐに笑った。

さっきよりもずっと嬉しそうに。

……こいつ、どっかおかしいんじゃないの

ずっと無視された人に舌打ちされて笑ってるなんて、おかしい以外のなにものでもない

「じゃあ、ホームルームはここまでです。授業の準備してから休み時間に入ってください」

担任の声を合図にワッと転校生のまわりに人が集まった。

「ねえねえ、宮嶺君って呼んでいい？」

「うんいいよ。あ、下の名前でもいいよ」

「ピアス似合ってるね」

「ありがとう、嬉しいな」

「休み時間に俺らが学校案内してやるよ」

「マジ、ありがと」


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