転生したら極悪非道な皇帝の妻になるが実は、ただのツンデレでした!?(9/29に修正済み)
目をウルウルさせながらそう言ってきた。
な、何よ……そのおねだりの仕方は!?
お菓子の時も食べさせろと言ってくるが、どちらかと言えば上から目線だ。
なのに。まさか、そんな子犬のような甘え方でおねだりされるとは思わなかった。
何だか余計に心臓がドキドキと高鳴ってしまった。
「もう……仕方がないわね。ほら、あーん」
「あーん」
私は、レンゲを使いお椀からすくうとあの男の口元に持って行く。
あの男は、口を開けた。
ニコニコしながらモグモグと味わうように食べだした。
「うん。美味しい……。ユリアが食べさせてくれるから
今日は、余計に美味しいね」
な、なぁ……!?
あの男の言葉に頬が余計に熱くなった。
いつもならそんな台詞なんて言ってくれないのに。
これは、熱のせい?そうなのよね……。
いつもと態度の違うあの男に戸惑うが……か、可愛い。
素直な姿に思わずときめいてしまった。
「ねぇユリア。もう一口ちょうだい」
「あ、うん。はい、あーん」
「あーん。ん……うん……美味しい」
ニコッと笑うあの男は、やっぱり可愛いと思った。
その後も食事を済ませると薬を飲ませ横にさせた。
するとその際にも……。
「ユリア。手をギュッとして寝たい。ギュッとして」
そう言いながら手を伸ばしてきた。
熱のあの男は、甘えん坊だ。心細いからかな?と思ったが
これが彼の本当の素なのかもしれないと思った。
ゼトリックって人も言っていた。
亡き母親のために強くなろうと思って、あのような態度になっているが、本心ではない。
本当の彼は、もっと繊細で甘えん坊で……。
そして笑顔の可愛らしい男性なのかもしれない。
私は、手を握ってあげると満足そうに微笑み、そのまま眠ってしまった。
まるで小さな男の子のような寝顔で……。