転生したら極悪非道な皇帝の妻になるが実は、ただのツンデレでした!?(9/29に修正済み)

 その夜は、この秘密の部屋で一晩過ごした。
お互いに気持ちを確かめるように……愛を重ねていく。
 そして改めて自分の気持ちにケリをつける。

ソファーで眠りつくが朝になると2人で、こっそりと寝室に戻った。
 いつもと変わらない日常に戻るが、何かが違う。
気持ちに整理が出来たからか晴々しい気持ちだった。
 何よりあの男がそばに居てくれることが嬉しかった。

 問題は、今日の夜だ。
夜になるのを待って私は、言われた通りに噴水の前まで行った。
 あの男も一緒に行くと言いついてきていた。
約束の時間になるとあの時の神だという黒猫が姿を現した。

『約束通りに答えを貰いに来たよ。君の答えを聞かせておくれ』

私は、ドキドキして震えている手を必死に落ち着かせようとする。
 するとあの男は、私の手を取るとギュッと握り締めてくれた。

 温かくて優しい手だ。
そのぬくもりを感じると自然と落ち着いてきた。
 私は、その気持ちを受け取り真っ直ぐと前を向いた。

「ごめんなさい……せっかくのご厚意だけど私は、元の世界には戻りません。
 この人とこれからも一緒に生きたい。このまま残ります」

両親や友達に会えなくなる。
 寂しくないと言えば嘘になるし、後悔しないとも限らない。
でも、それ以上のモノを私は、手に入れてしまった。

 失いたくない。この男の想いも存在も。
だから残ることにした。
 これは、自分自身で決めた決断だった。

時の神である黒猫は、黙って聞いていたがフッと笑っていた。
そして私の方を見た。

 『君の願い聞き入れた。実は、ここに来る前に
もう1人のユリアって子にも同じ質問をしたんだ。
 すると彼女も同じ意見だった。彼女も三浦って男を愛し、こちらで一生を迎えたいと言っていた。
 君達は……性格は、違うけど何処か似ている。
顔もだけど……その純粋さが。
 だからだろうね。魂が共有したのだろう』

私と……もう1人のユリアって子が?

『彼女にもそのことは話しておく。
では……これで。君達に末長く祝福を……』

そう言うと黒猫は、スッと消えて行った。
 噴水の輝きも消えて元の状態に戻っていた。
残された私達は、ポカーンとしていた。

まるで夢を見ているようなおとぎ話の世界だった。
 いや。この世界そのものがおとぎ話みたいなものだが
何だか不思議な気持ちだった。

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