イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡
「……ごめんね、純恋ちゃん」
私の鼻を啜る音が聞こえたからか、宗介さんの申し訳なさそうな声が耳に届く。
「えっ、なんで……宗介さんが謝るんですかっ、私、宗介さんには感謝しかないのにっ」
こんな経験、普通に生きててできることじゃないもん。
人生最悪の出来事だと後悔していた失恋を、してよかったって思えるくらいには、宝物みたいな日々だった。
「余計、苦しい思いさせちゃったかなって。励ますつもりでつれて来たのに、結果、また悲しい思いにさせちゃったかなと……」
違うよ。宗介さん。
翔の時とは違う。
彼らと離れても、今の私には心がポカポカになる思い出でいっぱいだ。
相良くんのことだけが心残りで、全くなんの後悔もないのかと聞かれたら嘘になるけど。
それでも、シェアハウスに来たことが、私が前を向くきっかけになれたのは事実だから。
「みんなと過ごせなくなるのはやっぱり寂しいですが、悲しくなんてないです!最高の思い出でいっぱいですから!宗介さん、本当にありがとうございました。明日からの新学期、笑って登校できます!」
私が涙を拭ってそういうと、宗介さんの鼻を啜る音もわずかに聞こえて。
「ありがとう、純恋ちゃん。彼らにとっても、純恋ちゃんはとってもいい影響になったよ」
そう言ってバックミラー越しで目が合った宗介さんが笑ってくれた。
私の、最高にキラキラした夏が終わる。