イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡

車に乗って数十分。

走っているのは木々が生い茂る山の中。

一体この奥に何があるって言うんだろうか。

「あの……ここは……」

遠慮がちに聞いて見ると、宗介さんが先に口を開いた。

「街だとバレて騒がられる可能性があるから。こういうところでしかくつろげなくて。ごめんね」

あ、なるほど……。

そうか。

唯十くんみたいに、日本に知らない人はいないってぐらいの超有名アイドルだと、人が少なそうなこういう場所で会う方が安全なのか。

そうだよね。危険なファンもいたみたいだし。あんな迷惑行為をする人なんか、ファンとは呼べないけど!

「さ、着いたよ」

さらに数分経って車が停車した先に、自然に囲まれた建物が一軒ぽつりと建っていた。

「お忍び限定のカフェと言ったところかな」

「お、お忍び……」

そのフレーズになんだかドキドキしてしまう。

「じゃあ、1時間後、かな。僕はここで休んでるから。ふたり楽しんできて」

「え」

「よし、時間ない。行くよ、純恋ちゃん」

「あ、ちょ、唯十くん!」

運転席に乗ったままの宗介さんを置いて、唯十くんが私の手を引いて車から出る。

時間ないって、そりゃ、大忙しの唯十くんはそうなんだろうけど。

突然、推しに手を引かれるのは、心臓に悪いですから!
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