イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡
この音を届けたい

頭の中が大パニックの中、私は唯十くんに手を引かれて、宗介さんの運転する車に急いで向かった。

『今夜、それ宙のライブの初日』

唯十くんは早足で車に向かっている最中にそう言った。

……相良くんたちの、ライブ。

「宗介さん、出して!」

車に乗り込んで唯十くんがそういうと、宗介さんは「了解」と言って車を発進させた。

行き先を伝えなくても、もうどこに行くかわかっているみたいに。

唯十くんがどうしてカイトくんの名前を出したのか、私をみーちゃんと呼んだのか。

わからないこと、聞きたいことはたくさんあったけど。

今はそれよりも……。

『雫久、歌えなくなってるんだよ』

唯十くんにそう聞いて、血の気が引いた。

あの相良くんが、歌えなくなっているなんて。

そんな状況の相良くんに、今、私が会って何ができるのかわかはないけれど。

とにかく今は必死に、無事に相良くんのライブに間に合うことだけを願った。
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