イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡
「相良 雫久」
……マジですか。
最後に自己紹介してくれた彼にトドメを刺される。
アッシュブラックカラーの長めのマッシュヘアと白い肌。
前髪で少し隠れた切長のアーモンドアイは見る人を吸い込みそうで。
知ってます知ってます知ってます。
〈それは宙にのぼる〉
今、大注目されているロックバンドグループのボーカルだ。
たしか最近、友達と見に行った映画の主題歌も彼らが歌っていた。
ロックバンドよりもアイドルの曲の方が好きでよく聞いている私でさえもよく知っている。
どうしよう……身体中が火照ってクラクラする。
翔のことでただでさえパンク寸前だった頭が、本格的に爆発しそう。
「……え、ちょ、純恋ちゃん?」
頭がボーッとする。
あ、これは夢なのかもしれない。
そうか、全部夢。
夢だと言われたらこの状況全てに納得がいく。
だっておかしいもん。
私が大ファンなアイドルグループ。その中でも一番好きな、入野唯十くんに会えるなんて。
なんて幸せな夢なんだ。
あぁ、翔に振られたことも全部、夢だったらいいのに。
「……危なっ!」
こちらに駆け寄ってくるようなそんな声が聞こえたかと思うと、身体がフワッと宙に浮いて。
私の意識は、そこでプツリと切れた。