イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡
*
相良雫久……。
最初はムカつく人だって思ったけど、優しいことも言えるんだな。
話し方は少々キツイけど。
それに……。
『目覚めたんだし、俺は部屋戻るから』
それって、私が起きるまで付き添ってくれたってことだよね。
きっとものすごく忙しいはずなのに。
「どう?純恋ちゃん、バイトの話、引き受けてもらえるかな?」
帰りの車の中。
赤信号でブレーキを踏んだ宗介さんにそう聞かれる。
「なんだかまだ全然実感が湧かなくて……それに本当にいいんでしょうか、相手は、今大注目の芸能人さんたちばかりですよ」
「雫久も言っていたでしょ。最終的に決めるのは純恋ちゃん。誰からどう思われるとか抜きにして。純恋ちゃん自身が、あそこで働いてみたいかどうか」
「私自身……」
もし、このまま話を断ったら。
私の夏休みは、かなりの時間、翔のことを考える時間になるだろう。
家が隣同士。
いやでも私の部屋からは彼の部屋の窓が見えて、彼が外に出る様子が見える。
きっと夏休みが明けてもズルズルと引きずっているだろう。
それぐらいの月日。
簡単に消すことのできないほどの日々を彼と過ごしてきたのだから。
「宗介さん、私───」
一度ゆっくりと呼吸を整えてから口を開いて。
答えを出した。