イケメン芸能人と溺愛シェアハウス♡

「あそう」

「しっかりしてるんだね」

「多分、丸山さんよりは」

「え、その一言、いりますか……」

「つぎ風呂場、」

「あ、ちょ」

かわされた。
でも。

最初に抱いていた苦手って気持ちはだいぶ薄れたかも。

『多分、丸山さんよりは』

そう言った彼の声は、今までと違ってほんのわずかだけど、無邪気さを含んでいた気がしたから。

っていうか……。

「そっか、私、ここに住むのか1ヶ月」

相良くんが脱衣所のドアを開けて自動で電気がついたタイミングで突然、今更ながら言葉が漏れた。

「なに言ってんの」

「あ、いや、ジワジワと実感しているというか、今日、私、このお風呂使うんだな〜って。自分のうち以外でお風呂なんて中学の修学旅行以来初め──」

違う。
小さい頃、よく翔の家でお風呂に入っていた。ほんと小さい頃だけど。

彼の家の庭で子供用プールを張って遊んだりもしたっけ。

「──さん、丸山さん、」

「は!す、すみません!ぼーっとしてました!」

ポンッと肩に手が置かれて、綺麗な顔が私の顔をジーッと覗いてきた。

「ん。また倒れるかと思った」

う。この距離、心臓に悪いから。

「あは、すみません、ほんと……」

あぁ、ダメだ。これじゃ。
忘れるためにここにきたのに。

事あるごとにいちいち思い出してちゃ意味ないじゃないか。

相良くんだって時間ないなか私のために部屋の案内してくれてるのに。

しっかりしろ!私!
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