一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています


「遅くなりました!」
滑り込むように保育園の扉を開けると、積み木でもしていたのだろう娘の真由が振り返る。

「ママ!」
嬉しそうにパタパタと走って来る真由を私は抱きしめた。
「ごめんね、ママ遅くなっちゃって」
真由と同じ目線でしゃがんで見つめると、真由は「いいよー」と抱きついてくる。

「お母さん、お帰りなさい」
真由の保育園の副園長でもある榊原先生がにこやかに歩いてくる。

「真由ちゃん今日もいい子でしたよ」
榊原先生は、真由をひょいと抱き上げると「ね?」と笑顔を向ける。
しかし、当の真由はと言えば、今にも泣きそうな表情で私に助けを求める。
「やっぱりダメか」
少し悲しそうに榊原先生は表情を歪めると、真由を下ろした。

「先生、すみません」

小さいころから父親はもちろん、妊娠を話すと厳格だった両親からも勘当されたため真由は祖父すら知らない。
そのせいか、男性に対しての人見知りが激しい。

担任の先生は女性の先生だが、今日は遅くなったため榊原先生がみていてくれたのだろう。
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