一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「本当にすみませんでした」
頭を下げた私に、榊原先生はにこやかな笑顔を向けてくれる。
「今日から初出勤だったんでしょ? 全然大丈夫ですよ」
その言葉に少しだけ救われるも、まさかそこでいろいろな事があったせいとも言える訳もなく、私はもう一度頭を下げた。
「真由、行こうか」
私は3歳になったばかりの、最愛の娘の手を握るとジッと真由を見つめる。
あの人に会うまでは、もうはっきりと顔も思い出せなかったが、今日あらためて見て確かに真由はあの人に似ているかもしれない。
このフワリとした髪も、ぱっちりした二重も。
よりによって名前も知らなかったのに、〝真”という字まで同じとは。
私はその事実に唖然とする。
真由を自転車の後ろへと乗せると、「しゅっぱつよー」と嬉しそうな声が聞こえる。
そうだ。妊娠がわかり両親にも見放され、なんとか二人で必死に生きてきた。