一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

油で揚げ始めたところで、インタホーンが押されて真由が走り出す。
「まなくんおかえり!」
玄関での会話がだんだんと近くなり、リビングの扉があく。

「咲綾、ただいま」
「おかえりなさい。ごめんなさい手が離せなくて」
一応住まわせて頂いているのだからと、初日になんとなく玄関までお出迎えをした。

それをなぜか真翔さんが嬉れしそうにするので、やめることができずにいる。

「全然いいよ。うまそう」
真由と手をつないでいない方の手でネクタイを緩めながら、真翔さんはキッチンを覗き込んだ。

「真由の好きなコロッケで……いいですか?」
こんな庶民メニューが申し訳なく聞いた私に、真翔さんは「もちろん。俺も好き」と真由に話しかけていた。

「着替えてくるよ」
そう言うと、真翔さんはリビングを出ていった。


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