一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「どこから話せばいいのか……」
そう言って真翔さんは、また私をきつく抱きしめる。
「本当に、本当にごめん。一人で苦しめたこと。何も知らなかったとはいえ、取り返しがつかないことをした」
真摯に謝られたその言葉に、私は今までの思いから解放されるような気がした。
ましてや、あの日は自分から誘ったのだから。
そう言い聞かすと私は、自分を落ち着かせるように小さく息を吐いた。
「だけど、いい訳だけど俺はずっと咲綾からの連絡を待ってた」
その意外なセリフに私は驚いて、真翔さんの腕の中から顔を上げた。
「あの頃、俺の周りには金や名声ばかりに集まる奴らが多くて、咲綾がそういう人間だと思ったわけではないけど、金を置いておけば連絡がもらえると思った」
そのあまりにも理解のできない言葉に、私は唖然とした表情をしていたのだろう。
ずっと苦し気な表情だった真翔さんが、少しだけ苦笑した。