一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「俺は捨てたつもりなんてない。あの日は確かに特別な夜で、真夜中仕事で呼び出されていなければ、俺は朝まで咲綾を抱きしめて眠ってた」
にわかに信じられないセリフに私は、グッと唇を噛む。
「でも、連絡先なんて……」
そこまで言った私だったが、真翔さんが散らばったお金に目を向ける。
「急いでいたから、本当に走り書き……」
そう呟きながら、何かを探すように何枚かの万札を手にした。
「あ……」
真翔さんがお札とお札の間から取り出した、小さなホテルのメモ用紙。
そこには走り書きだが、確かにメッセージが書かれていた。
”素敵な夜をありがとう。また会いたい。連絡待ってます”
メッセージとともに書かれた携帯番号とアドレス。
うそでしょ……。
こんなのあの時なかった……。
そうは思うも、確かに自分が投げつけた封筒から出てきた。
私は完全に脱力し、放心状態だった。
この4年、私はなにをしていたのだろう。一人で逆恨みをして真由の父親を奪って……。
その事実に真翔さんと真由に申し訳なくて、どうしていいかわからなくなる。