一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「ごめんなさい……全然気づかなくて。嫌だ……どうして」
パニックになる私の頬に真翔さんはそっと触れる。

「咲綾、違う。俺がすべて悪い。男として最低だ。あんな風にお金を置いて誤解させたのは俺だ。あんなことすべきじゃなかった」
真っすぐに見つめられるも、私はどうしていいかわからなかった。

なんてことをしてしまったのだろう。
このまま溶けて消えてしまいたい気持ちに、私は真翔さんの腕から抜け出した。
こんな身勝手な思いで、私は……。
あの時冷静になっていれば、もっときちんとお金を確認していれば、真翔さんを探していれば。
そんな後悔が怒涛のように押し寄せるも、今更どうにもならない。

こんな後になって、告げることもなく勝手に子供を産んで、挙句の果てにこんな形で知らせるなんて。

私こそ許されるべきではなかったのではないか。
そんな気さえしてくる。
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