一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「よかった。じゃあ遠慮はいらないな」
そう言うと、真翔さんはもう一度今度は優しく私を包み込む。
「遠慮?」
意味が解らず顔を上げた私の瞳に、まっすぐないつもの柔らかな真翔さんの顔があった。
びっくりして目を見開いた私だったが、すぐに真翔さんの顔がぼやけていく。
「もう俺は咲綾を逃がす気はないよ」
その言葉をすごく近くで聞いたと思うと同時に、やさしく唇が重なる。
そのキスの意味が解らず、私はそのまま動けなかった。
しかし、その温もりが嬉しくて、私はただ真翔さんを見つめた。
「もう一度始めよう。あの夜から」
その言葉に、私は静かに頷いていた。