一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
久しぶりに電車に乗り、緑が色濃くなってきた河川敷へと目を移す。
今年の夏は冷夏と言われていても、やはり暑く電車を待っている間にも背中が汗ばむ。
いつも、送り迎えをしていてもらっていることが、とても贅沢に感じながら私は電車を降りた。
「こんにちは」
保育園に着くと先生に挨拶をし真由の教室へと向かう。まだ数人残っている子たちの中から私は真由の姿を探した。
真由は一生懸命、お友達であろう男の子と積み木をしていた。
「真由、帰ろうか」
「もうすこしでできるの」
その言葉に「わかったよ」と答えると、不意に後ろから声が聞こえた。
「お久しぶりですね。お仕事は慣れましたか?」
にこやかな笑顔の副園長先生がそこにはいて、私は頭を下げた。
「副園長先生。ご無沙汰しています」
そういえばあの倒れた日、真翔さんは副園長先生に会ったと言っていた。
迷惑を掛けたことを謝罪しなければと、風園長先生に向かい合ったところで、真由の声が聞こえた。