一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「正直に言うと、最近来た秘書はみんな下心があってね」
そこまで言われようやく私はその状況が理解できた。
大村グループの御曹司の秘書ともなれば、みんが玉の輿を狙うのだろう。あの手この手で気を引こうとしたのが目に浮かぶ。
御曹司じゃなくてもこの人は……。
昔から女の人に囲まれていたことを思い出しそうになり、私は思考を戻した。
「そうでしたか。しかし私はそんなことは断じてありませんので」
思ったより自分でも冷静に、感情抜きで言えたことに驚いた。
いや、それぐらい私はもうこの人に関わりたくなかった。
「そのようだね。君の態度をみてよくわかったよ。だからこそいい仕事が出来ると思ってる。三カ月限定とは残念だがよろしく頼みます」
その言葉に嘘がなく聞こえて、私は無意識に頷いていた。
そんな私に、専務は嬉しそうに微笑んだ。
やめて。
そんな笑顔をしても騙されない。
憎しみしかなかった私に、いまさら優しさなんて無用だ。
「いえ、仕事ですから」
静かに言った私に、専務はハッとしたような表情をして視線をパソコンに向けた。